オーディオはメタバースの未来である

オトマーケポッドキャストで現在配信されているオトナルの八木太亮とAudio Metaverse の井口尊仁との対談。前編・中編・後編と3回に渡りブログバージョンでもお送りします。

オトマーケポッドキャスト前編では、井口はAudio Metaverse社としてCubemint を開発するに至った経歴について語った。

オトマーケポッドキャスト[前編]を聴く

今から6年前。オーディオソーシャルという分野や概念もない2016年から、音声コミュニケーション分野に取り組んでいた井口。もともとAR分野での開発をしていた井口がなぜそれほど早くからオーディオの世界に踏み入れたのか。八木は対話を通じての中でその答えを見つけることとなった。

八木「本当にお世辞ではなく、僕は井口キッズなんですよ。セカイカメラに出会わなかったら、起業しようとかテクノロジーってすごいってならなかったので。」

※世界カメラ…2008年のアイフォン発売と同時にリリースされたARアプリ。iPhoneに搭載されたカメラを通して”エアタグ”が表示された拡張現実を体験することができた。現在サービスは終了している。

井口「恐縮です笑」

世界カメラの開発を通して井口が得たビジョンは”次に来るのはサーチのいらない世界”であった。

井口「世界がビット化して誰もがコーディングできるようになって、デジタルでお互いコミュニケーションできるようになったら世界は平和じゃんって。」

大学時代、哲学を専攻していたにも関わらずコーディングに明け暮れた井口はいつのまにか世界がビット化されたように感じたと話す。PCもネットも一般的な普及のない時代に、デジタルで人々がつながることの可能性に目覚めていた井口。同時期にデジタル社会の到来を予見していた孫正義もトレンドの最先端を体験できるアメリカに居たことに触れつつ”視野が開く瞬間は特殊な体験をした後だ”と確信する。これには井口自身もサンフランシスコで過ごした経験が大きく影響しているに違いない。

2013年、井口はアメリカのサンフランシスコで日本の名だたる企業と秘密裏にウェアラブルメガネデバイスである”Telepathy One”の開発を行なっていた。

近未来SFのアイコン的デバイスといえばスマートグラスだが、視覚に対する注意力を奪ってしまうために、使用者は常に危険と隣り合わせになる。また開発を進めていくと、AR世界を楽しむ上での没入感が得にくいためにウェアラブルメガネデバイスは”あまり楽しくない”ことが判明する。没入性という点でVRグラスがARグラスより普及している現状も説明がつくだろう。

井口「最後に辿り着いたのが、これ、音じゃないか?って」

音声は人間の感情に働きかける共感メディアであり、サブ情報としても視覚を遮らない。

八木「目を閉じればそこにいるみたいな。(中略)文化放送の焚き火配信とか。」

また、数年前からシリコンバレーではオーディオ分野がトレンドである。

井口「スマートスピーカーやAirPodsみたいな新しいタイプのイヤホンが非常に普及しているということは、アメリカは日本のマーケットの先を行っていたので、オーディオが主流になるなと明確にわかりました。」

空間オーディオを日常的に体験できるAirPods Proなどのウェアラブルやスマートスピーカーの登場は、人間のコミュニケーションスタイルと近い形をデジタル上でも再現可能にし始めている。

新型コロナウイルスの流行により、音声ソーシャルの可能性に世間が注目した2020年。一世を風靡したアプリケーション”Clubhouse” は記憶に新しいだろう。実はその一年前、2019年にAudio Metaverse 社の前身であるDokiDoki社は類似した双方向型音声ソーシャルアプリ”Dabel”を既に開発していた。ただし現状これらのコミュニケーションツールは電話やラジオのような形をとるため普段我々が日常的に行うコミュニケーションとは異質なものには変わりない。

では、Audio Metaverseとはなにか。

双方向であるだけでは再現できない人間らしいコミュニケーションの持つ特徴とは何か。それは断続性が存在することである。例えば遠くのカフェで会話している二人組がいるとする。一緒に話そうと近づくと、徐々に2人の会話内容が明瞭に伝わってくる。また自然と聞こえてくる周囲の人々の会話内容も移り変わるだろう。このリアリティをオーディオ空間で作り出すことで自然なコミュニケーションが取れる、それがAudio Metaverse のめざす世界である。

井口「メタバースとはライブ性があることと没入感覚を得られる空間であることだと見立てています。(中略)さらに複数の中からワールドを選択できること。二段階(で表現できる)かもしれないですね。」

八木「(そうなると)世界カメラってメタバースだったんじゃないかなって」

音声インターネットの確立は目前である。

直感を補完するウェアラブルの普及がオーディオソーシャルの市場を後押ししたことは先述した通りであるが、

井口「(音声ソーシャルの普及の前に)音声インターネットがちゃんと真面目に発展しないといけないなとすごく思ってまして。」

インターネットの基本形式であるhtml。”テキスト”をタブ化することによって情報をハイパーリンクし、ページ同士が繋がることでウェブを形成している。イスラエルの音声内検索”オーディオバース”や活字コンテンツを自動読み上げする”RSS”など様々な技術が発展段階にあり、”音声コンテンツ”ではまだテキストのインターネットに対抗できていない。しかしながら井口はライブ音声やアーカイブ音声を問わず、機械的に読み見込めて自動的にリンクが貼れるようになるととんでもないメディアができると確信している。

井口「こういう未来志向の話ができて嬉しいです。」

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オトマーケについて

株式会社オトナルCEOである八木太亮(やぎたいすけ)の主催するポッドキャスト。

国内の音声メディアやデジタル音声広告に携わる”音声広告カンパニー”オトナルの八木CEOが音声にまつわる最新トレンドやマーケティングへの活用について日々発信している。

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