
あなたがネット社会から離れて生活しているのではない限り、 Facebook社改めMeta社の発表から広まった「メタバース」という言葉を少なからず聞いたことがあるはずです。実のところ、メタバース誕生の構想自体は1992年のニール・スティーブンソン著『スノウ・クラッシュ』まで遡ります。そして、近年のCOVID-19のパンデミックによって、この新しいデジタル領域により多くの人が興味を持ち始めていることはご存じでしょう。現実世界の社会構造や経済体系の暴力的なまでの変化は、新しい世界を創りたいという思いを生み出しました。
ご想像頂けるように、メタバースへの接続には誰にとってもアクセスのしやすさが大切となります。デバイスで動くシステムには多くの場合、ボイスオーバーやアシストタッチなどのさまざまなユーザー補助機能が搭載され、目の不自由な人や身体の不自由な人もデバイスを快適に使用できるようになっています。ただし、このテクノロジーはアプリケーションの開発段階で常に考慮されているわけではないため、一部のプラットフォームはハンデキャプを持つ人々にとって使うことが難しく、煩わしさを感じるものとなっています。従来のインターネットはこの点においてうまく機能しなかったことを踏まえ、メタバースでのアクセシビリティの進展に関して懸念が生じるのは当然のことでしょう。
インターネットの失敗
2022年にもなり、誰もがインターネットを難なく使用できるようになっていると思うでしょう。けれどもAbilityNetによると、支援技術に依存せざるを得ないハンデキャップを持つ人々の90%は依然としてWebサイトにアクセスできていません。WHOによると、成人の15%が何らかの障がいを持っているため、これはインターネットの発展において重大な懸念事項です。
インターネット自体、考案当初は誰しもがアクセス可能なサービスであるはずでした。インターネットの父であるヴィントン・サーフは当初、聴覚障害者がメッセージを受信する支援ツールとして、電子メールのシステムを構築しました。彼の妻とサーフ自身、聴覚障がいがあったこともあり、彼のアクセシビリティ主義に応じてIPが部分的に設計されたのです。
しかしながらインターネットの需要が高まるにつれ、アクセシビリティの優先度は低くなり始めました。本来の目的とはちがい、使用者の多くを占める健常者のために開発され始めたのです。インターネットの世界が盛り上がれば盛り上がるほど、ハンデキャップを持つ人々の体験は腹ただしいほどに複雑になりました。
メタバースは何が違うのか
現在急速に作り上げられているメタバースにおいて、多くの人々がアクセシビリティを再考する機会だと考えています。
従来のインターネット社会は、適切な優先順位の必要性とその欠落によって、アクセシビリティがいとも簡単に見落とされたことを我々に示しています。また、開発者の大多数がハンデキャップのない人々であるために彼らがその点に着目したり、当事者に相談したりすることは難しいでしょう。
ハンデキャップを持つ人々への対応を優先しないことの危険性は、将来世界人口が増加することでますます上がります。人口が増加するのに伴い、ハンデキャップを持つ人は2050年までに3600万人から1億1500万人と、3倍になると予想されています(WHO)。メタバースでは誰もはぐれないことが求められるでしょう。
点字リテラシーキャンペーンの全国大使であり、NYTのベストセラーであるマイケル・ヒンソンは次のように述べています。「私がインターネットにアクセスしやすくするためにとあなた方が行う工夫は、回り回って、あなた方にとってもインターネットを使いやすい環境となるでしょう。」
つまり、アクセシビリティは誰にとっても必要なものであると同時に、製品の使いやすさとロングセラーに大きく関わるのです。
ここまでくればとてもシンプルな問題です。メタバース開発に注力する企業にこの点に目を向けさせるだけでよいのですから。
オーディオメタバースに参加する
アプリのリリースやアップデート情報はthecubemint.comへのご登録で得られます。

次回の更新もお楽しみに!アクセシビリティがどこまで実現可能なのか、またオーディオメタバースがメタバース開発の中でどのように役割を果たすことができるかを例を挙げながら、なぜメタバースでアクセシビリティに注意する必要があるのかがわかるでしょう。